救急蘇生法の基礎 - 突然死を防ぐために

(7)突然死を防ぐために

 成人がある日突然に死亡する主な死因に、心臓発作や脳卒中があります。心臓の筋肉(心筋)に血液を送る血管(冠動脈)が詰まると、心筋への血流が途絶えてしまいます。このとき、傷病者は典型的には胸の真ん中に強い痛みを訴えますが、その強さや場所は様々で、時には、肩、腕、アゴにかけて傷みを訴えることもあります。傷みではなく、胸が締付けられるような圧迫感だけの場合もあります。息切れ、冷や汗、吐き気があったり、立っていられない場合は重症です。この状態が続くと心筋が死んでしまう急性心筋梗塞となり、生命に重大な危険が及びます。

 脳の血管が詰まったり、破けたりすると脳卒中が起こります。脳の血管が詰まると脳への血流が途絶え、体の片側に力が入らなくなったり、しびれを感じたりします。言葉がうまくしゃべれなかったり、ものが見えにくくなったりすることもあり、重症の場合は、目が覚めなくなります。この状態が続くと、脳の神経細胞が死ぬ脳梗塞となり、元に戻らなくなってしまいます。脳の血管が破けた場合は、脳の中や表面に出血が起こります。特に脳の表面に出血するくも膜下出血では、生まれて初めて経験するような強い頭痛が突然起こるのが特徴で、出血を繰り返して悪化することがしばしばあります。

 心臓発作や脳卒中は、短期間に悪化して致命的になりますが、早く治療するほど助かる可能性が高くなります。病院に行くまでの間に悪化する可能性もあるので、上記のような症状が急に起こったら、躊躇わずに119番通報をして救急車を依頼することが重要です。傷病者はしばしば119番通報を遠慮しますが、強く説得してでも119番通報し、救急車が来るまでそばに付いて、傷病者の反応がなくならないか注意してください。

 子どもの突然死の主な原因には怪我(外傷)、溺水、窒息などがあります。いずれも予防が可能なので、何よりも未然に防ぐことが大事です。自動車に乗るときのチャイルドシート使用、自転車に乗るときのヘルメット着用、保護者がいないときの水遊びの禁止、住居への火災報知機の設置、幼児の手の届くところに口に入るものを置かないことなどが重要です。